【暗記用】H26年 監査基準の改定について(設定前文)

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H26年 監査基準の改定について(設定前文)を公認会計士試験監査論対策用に暗記しやすい形にしました。

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監査基準の改訂について
平成 26 年2月 18 日
企 業 会 計 審 議 会







一 経 緯

1 審議の背景

従来、監査基準では、「第一 監査の目的」において、「財務諸表の監査の目的は、経営者の作成した財務諸表が、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて、監査人が自ら入手した監査証拠に基づいて判断した結果を意見として表明すること」と規定し、幅広い利用者に共通するニーズを満たすべく一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成された財務諸表(以下「一般目的の財務諸表」という。)に対して、公認会計士(監査法人を含む。)が監査を行う場合を想定してきた。そして、当該一般目的の財務諸表に対する監査では、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されているかに加え、経営者が採用した会計方針の選択やその適用方法、さらには財務諸表全体としての表示が適正表示を担保しているかといった実質的な判断を含めた意見(以下「適正性に関する意見」という。)が表明されている。

一方で、近時、公認会計士に対して、特定の利用者のニーズを満たすべく特別の利用目的に適合した会計の基準に準拠して作成された財務諸表(以下「特別目的の財務諸表」という。)に対しても、監査という形で信頼性の担保を求めたい、との要請が高まってきている。

特別目的の財務諸表は、一般目的の財務諸表と異なり利用目的が限定されていることに加え、例えば、財務諸表の利用者が財政状態や経営成績等を理解するに当たって財務諸表が全体として適切に表示されるように追加的な開示を求める規定が会計の基準にないことが多いことなどから、公認会計士が監査意見を表明するに当たっては、必ずしも、適正性に関する意見を表明することが馴染まない場合が多いものと考えられる。また、一般目的の財務諸表であっても法令により一部の項目について開示を要しないとされている場合等には、適正性に関する意見を表明することは馴染まない場合もあると考えられる。これらの場合、適正性に関する意見を表明する場合と同様、財務諸表に重要な虚偽の表示がないかどうかの合理的な保証を得て監査意見を表明しなければならないことに変わりはないが、その会計の基準に追加的な開示要請の規定がないこと等を踏まえ、財務諸表が当該財務諸表の作成に当たって適用された会計の基準に準拠して作成されているかどうかについての意見(以下「準拠性に関する意見」という。)を表明することが、より適切であると考えられる。

なお、国際監査基準では、財務諸表の利用者のニーズに応じて、一般目的の財務諸表と特別目的の財務諸表という財務報告の枠組みが分類され、適正性に関する意見と準拠性に関する意見とのいずれかが表明されることが既に規定されており、実際に適用されている。

以上のことから、当審議会においては、従来の適正性に関する意見の表明の形式に加えて、準拠性に関する意見の表明の形式を監査基準に導入し、併せて、監査実務における混乱や財務諸表利用者の誤解等を避けるため、特別目的の財務諸表に対する監査意見の表明の位置付けを明確にすることとした。なお、その際には、国際監査基準を踏まえ、一般目的の財務諸表と特別目的の財務諸表とのそれぞれについて適正性に関する意見の表明と準拠性に関する意見の表明とがあり得ることを明らかにしつつも、一般目的の財務諸表を対象とした適正性に関する意見の表明を中心とした従来の我が国の監査基準の枠組みとの整合性には十分に配意したところである。

今回の監査基準の改訂では、準拠性に関する意見の表明の形式が導入されることとなるが、当該意見を表明するに当たっては、以下に記すとおり、適正性に関する意見を表明する場合に準じた対応が必要となることについて、公認会計士はもちろん、財務諸表の作成者や利用者に対しても十分に周知が図られることが望ましい。

2 審議の経過等

当審議会では、平成 25 年3月 26 日に公表した「監査基準の改訂及び監査における不正リスク対応基準の設定に関する意見書」の前文において、「特別目的の財務報告に対する監査の位置づけを監査基準上明確にするかどうか、といった論点も議論されたところであるが、国際的な議論の動向や利用者のニーズに関する調査等を踏まえつつ、今後、当審議会において検討を行うこととしている」と記載したところである。

これを受けて監査部会では、国際的な議論の動向や利用者のニーズに関する調査等を踏まえ、従来の監査基準が規定する監査の枠組みに特定の利用者のニーズに応じて作成される財務諸表に対する監査を取り入れるための論点等に関する審議を行い、平成 25 年 11 月、公開草案を公表し、広く各界の意見を求めた。当審議会では、寄せられた意見を参考としつつ、更に審議を行い、公開草案の内容を一部修正して、これを「監査基準の改訂に関する意見書」として公表することとした。なお、監査部会の審議においては、監査報告書の記載内容に関し、国際的な見直しの動向についても議論されたところであり、引き続き検討を行うこととしている。

二 主な改訂点とその考え方

1 監査の目的の改訂

監査基準において、これまでと同様、一般目的の財務諸表を対象とした適正性に関する意見表明が基本であることに変わりはないことから、監査の目的にかかる従来からの記述はそのまま維持することとしつつ、特別目的の財務諸表又は一般目的の財務諸表を対象とした準拠性に関する意見の表明が可能であることを付記し、明確化を行った。

適正性に関する意見の表明に当たっては、監査人は、経営者が採用した会計方針が会計の基準に準拠し、それが継続的に適用されているかどうか、その会計方針の選択や適用方法が会計事象や取引の実態を適切に反映するものであるかどうかに加え、財務諸表における表示が利用者に理解されるために適切であるかどうかについて判断しなくてはならない。その際、財務諸表における表示が利用者に理解されるために適切であるかどうかの判断には、財務諸表が表示のルールに準拠しているかどうかの評価と、財務諸表の利用者が財政状態や経営成績等を理解するに当たって財務諸表が全体として適切に表示されているか否かについての一歩離れて行う評価が含まれるが、準拠性に関する意見の表明の場合には、後者の一歩離れての評価は行われないという違いがある。

2 実施基準の改訂

監査の実施に当たっては、準拠性に関する意見の表明の場合であっても、適正性に関する意見の表明の場合と同様に、リスク・アプローチに基づく監査を実施し、監査リスクを合理的に低い水準に抑えた上で、自己の意見を形成するに足る基礎を得なければならないことから、「第三 実施基準」(以下「実施基準」という。)が当然に適用されることに留意が必要である。

また、財務諸表に対する監査意見を表明する場合のほか、財務諸表を構成する貸借対照表等の個別の財務表や個別の財務諸表項目等に対する監査意見を表明する場合についても、監査基準が適用される(その際、監査基準中「財務諸表」とあるのは、必要に応じ「個別の財務表」又は「個別の財務諸表項目等」と読み替えるものとする。)。従って、個別の財務表又は個別の財務諸表項目等に対する監査意見を表明する場合であっても、単にそれらの検討にとどまることなく、意見を表明するために必要な範囲で、内部統制を含む、企業及び企業環境を理解し、これらに内在する事業上のリスク等が重要な虚偽の表示をもたらす可能性を考慮しなければならないことに留意が必要である。

なお、特別目的の財務諸表には多種多様な財務諸表が想定されることから、実施基準の「一 基本原則」において、監査人は、特別目的の財務諸表の監査を行うに当たり、当該財務諸表の作成の基準が受入可能かどうかについて十分な検討を行わなければならないことを明確にした。

3 報告基準の改訂

「第一 監査の目的」において、適正性に関する意見に加えて準拠性に関する意見にかかる記述を付記し、明確化を行うことを踏まえ、「第四 報告基準」についても改訂を行い、監査報告書において記載すべき事項を明確にした。

すなわち、「第四 報告基準」の「一 基本原則」では、適正性に関する意見の表明について特別の利用目的に適合した会計の基準により作成される財務諸表の場合を付記するとともに、これに加えて、準拠性に関する意見の表明について規定し、監査人が準拠性に関する意見を表明する場合には、作成された財務諸表がすべての重要な点において、当該財務諸表の作成に当たって適用された会計の基準に準拠して作成されているかどうかについての意見を表明しなければならないことを明確にした。

準拠性に関する意見には、財務諸表には重要な虚偽の表示がないことの合理的な保証を得たとの監査人の判断が含まれている。この判断に当たり、監査人は、経営者が採用した会計方針が、会計の基準に準拠して継続的に適用されているかどうか、財務諸表が表示のルールに準拠しているかどうかについて形式的に確認するだけではなく、当該会計方針の選択及び適用方法が適切であるかどうかについて、会計事象や取引の実態に照らして判断しなければならないことにも留意が必要である。

なお、準拠性に関する意見の表明については、別途の報告基準を改めて規定するのではなく、適正性に関する意見の表明を前提としている報告基準に準じることとしたが、特別目的の財務諸表の利用者の誤解を招かないようにするために「第四報告基準」に「八 特別目的の財務諸表に対する監査の場合の追記情報」を新設した。すなわち、特別目的の財務諸表に対する監査報告書を作成する場合には、監査報告書に、会計の基準、財務諸表の作成の目的及び想定される主な利用者の範囲を記載するとともに、財務諸表は特別の利用目的に適合した会計の基準に準拠して作成されており、他の目的には適合しないことがある旨を記載しなければならないこととした。また、監査報告書が特定の者のみによる利用を想定しており、当該監査報告書に配布又は利用の制限を付すことが適切であると考える場合には、その旨を記載しなければならないこととした。

三 実施時期等

–省略–

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